世界自閉症啓発デーによせて


  4月2日は『世界自閉症啓発デー』です。これは平成19年12月、国連総会において決議され、自閉症をはじめとする発達障害について広く啓発する日とされています。

 自閉症はその字面から、殻の中に閉じこもる暗い病気と想像されがちです。また、引きこもりをイメージする人も多いようです。自閉症は病気ではありません。また、引きこもりのような状態を指す言葉でもありません。自閉症は、生まれ持った脳の機能の状態から、主に以下の3つのやりにくさを持つ発達のアンバランスな状態を指します。知能の高い、低いは自閉症を診断する理由にはなりません。

①他人と関係性を作る・維持するのが苦手、②自分の気持ちをうまく表現する、あるいは他人の気持ちを汲み取るのが苦手、③興味の偏りがあり、こだわってしまう。

 自閉症は、その社会性の育ちにくさのため、周囲から単にわがままな子と見誤られることがよくあります。これは知的に高い自閉症児に多いように思います。デパートで大騒ぎをしたり、同じものや動作にこだわったりして周囲の迷惑になることがあります。できるのに、やりたくない気持ちが強すぎて、あるいはやらないといけないと思う気持ちが弱すぎて大人を困らせることがあります。感覚過敏といって、周囲の音やにおい、温度にとても敏感な子もいます。みんなにとって普通でも本人にとってかなりつらい体験だったりします(これには運動会などの騒がしさや、音楽の授業の楽器の音などがあります)。髪の毛にこだわりのある子だと、道を歩く見知らぬ人の髪でも触ってしまうことがあります。いずれも本人がわざと悪気でやっているわけではありません。自閉症のこだわりや特性が問題行動を生みだし、それがやりにくさ、生きにくさになっています。

 自閉症は乳幼児期からみんなよりちょっと変わった行動をとることが多いので、多くのご両親はずっと周りに気を使って暮らしています。多動が強すぎたり、興奮が強い子だと外出するのも気軽にできません。自閉症の子にとって、楽しいお出かけはいつも叱られる体験だったりしますし、保護者にとっても周りから冷たい目で見られる体験だったりします。

 4月2日は世界自閉症啓発デーです。みなさんが自閉症のことをもっとよく理解していただき、本人だけではなく、保護者の気持ちにも配慮できる優しい隣人であってほしいと思います。